仁義なき戦い!コーラ戦争から学ぶマーケティング手法あれこれ

マーケティング戦略のバイブル本「マーケティング戦争」

ども。哲学バカのきょうさん@q_ohhhですよ。

最近ハマってる本がありまして。

マーケティング戦略に、軍事学の大家・クラウゼヴィッツの思想を応用した本。

マーケティングは、もう絶対必要なスキルですから。

そして、これ一冊持っとけば間違いない。

すっげえおススメの本です。

もはや思想書。

私は図書館で借りている状態ですが、AMAZONでポチる予定。

業界の歴史を踏まえて、マーケティングの本質を書いてあるんですよ。

それで、「オモシロいなあ」と思ったのがコーラ戦争の項目。

コカコーラとペプシの戦いを書いてるんですね。

もともとコーラ業界どころか、アメリカの象徴だったコカコーラ。

そこに食い込んでいったペプシ。

そのあらましが、クラウゼヴィッツ戦略とともに描かれています。

コカコーラは禁酒法時代に生まれた

コカコーラってもともと、コカイン+コーラノキ(カフェイン)なんですね。

これをワインで割った強壮剤だった模様。

南北戦争の頃に生まれた代物。

で、これが禁酒法時代にダメになった。

ワインだからね。

1900年代初頭の話。

だからソーダで割ったんだと。

私たちもよく飲むコカコーラの誕生です。

6,5インチの瓶ボトルが、特徴でありブランドだった模様。

瓶のコーラって美味しくないですか?

なかなか見ないけれど、私は瓶のコーラを見ると嬉しい。

もしかすると、コーラの瓶ブランドが、いつのまにか私の脳内に侵入してるのかも。

それと同じで、いまから100年前のアメリカ人は、6,5インチの瓶ボトルが大好きだったみたい。

手のひらにスッポリ収まる感じ。

夏の日にキリっと冷えたコーラ。

喉から刺激が広がる。

あ~。こう書いてて飲みたくなってきちまったよ…笑

ペプシが狙い撃ちにした6,5インチの瓶ボトル

ところが、ブランドであるところの6,5インチの瓶。

これを狙い撃ちにしたのがペプシだったんです。

時は1930年代の不況時。

ちょうど今の日本と同じような時代。

ペプシは、コカコーラと同じ値段で、ほぼ倍の量を販売します。

つまり、半値!

ただちょっとここで立ち止まって考えてほしいのが安けりゃいいってもんじゃない

ペプシは、何の考えもなしに安くしたわけじゃないんです。

明確にターゲットを定めていた。それは若者

ペプシは「質より量」の若者へむけて、コカコーラより量を増やし、さらに甘味を増やして提供。

若者向けという大コンセプトは、その先も揺らぐことなく、1980年代にはCMにマイケル・ジャクソンを起用している。ま、それはまた後の話。

ともあれペプシは、コカコーラのブランドである6,5インチの瓶を狙い撃ちしたんですよ。

6,5インチの瓶より、ぜんぜん大容量を用意した。

コカコーラは、容易に瓶の変更はできない。

ブランドだし、工場もあるし。

ペプシのこの大攻勢を、「マーケティング戦争」の著者2人は大絶賛してます。

いわく、リーダーの持つ強みに潜む弱みを見つけ、そこを攻撃せよという、クラウゼヴィッツ思想の見事な実践なのだと。

戦争でいうところの側面攻撃

正面ではなく、側面。

資本や規模で劣る新参者は、正面切ってトップと争うべきではない。

側面攻撃、具体的にはリーダーの持つ強みに潜む弱みを攻撃することで活路は開けるんだと。

リーダーとは業界トップのこと。

そして単なる弱みではなく、強さに潜む弱み

単なる弱みなら、すぐに対処できますから。

コカコーラは、いくら価格競争で負けているからといって、容易にボトルの変更はできなかった。

6,5インチの瓶がブランドだったから。強みだったから。

この強みの中に、若者には物足りない、という弱みが含まれている。

ここを突いたペプシは見事だった。

そういえば、古代マケドニアのアレキサンドロス大王も、ペルシャの大軍勢の強みの中の弱みを突いて、まさしく側面攻撃を仕掛けたんでした。

ちょっと話がずれるけども、私は戦争の本が好きでよく読んでましたよ。

ここで私が持っている戦史のおススメ本を貼りつけときます。

戦史知ってると、「マーケティング戦争」読むのも、マーケティング学ぶのも楽しくなります。

あと、意外に塩野七海の「ローマ人の物語」もいい。

コカコーラの最大の武器。イッツ・ザ・リアル・シング

1954年には、コカコーラはシェアを3%落とし、一方のペプシは12%も上げている。

こりゃペプシさん大成功ですね。

コカコーラは、このあとパッとする戦略を思いつかずにズルズル行くんです。

ところが1970年、場当たり的ではあるが、ついにコカコーラは、最強のコンセプトを発見します。

それがイッツ・ザ・リアル・シング(これぞ本家本元)。

コカコーラのリーダーシップ、もといアメリカそのものの象徴である事をぶちあげた偉大なコンセプト。

「マーケティング戦争」の著者も、このコンセプトには称賛を惜しまない。

ブランドそのものをシンプルにぶち上げてるわけですからね。

ただコカコーラ自身が、まだふらついていて、5年後にはこのコンセプトを打ち切ってしまう。

コカコーラ自身が、自分の立ち位置やブランドを完全に自覚するのは、1980年代の「カンザス計画」の大失敗のあとなんです。

ペプシの猛攻とカンザス計画

1980年代に入ってもペプシの猛攻。

この動画が、マイケル・ジャクソンを起用したCMです。

ペプシの思惑は、コカコーラをダサい存在に変えること

「え?まだコカコーラ飲んでるの?」と、イケダハヤトさんばりの煽りでコカコーラを猛攻撃。

さらにはペプシ、一般人に目隠ししてコーラを飲み比べてもらうという企画。

3対2の割合でペプシが勝利。甘いからね。

だからコカコーラは、のたうちまわってたんですよ。

イッツ・ザ・リアル・シングに自信が持てなくなった。

だから、コカコーラは味を変えたんです。

カンザス計画。

ここがコカコーラの最底辺だった。

大改革を求めていたコカコーラは、キューバ人のロベルト・ゴイズエタをCEOとして招いて新たなるチャレンジに着手します。

ところでCEOのゴイズエタは、任期の16年の間に、コカコーラ社の時価総額を40億ドルから1500億ドルに持っていった、中興の祖と呼ばれるほどの人物。

その人物が、任期の初期にこだわったのがカンザス計画。

結論をいえば、このカンザス計画は大失敗に終わったんですね。

より引用。

「最愛のコークよ。あなたは私を裏切った。(略)あなたは、なめらかな、魅惑的な甘い嘘の味がした。あなたは金に汚れた娼婦になり、理想を否定してしまった」
(『コカ・コーラ帝国の興亡 100年の商魂と生き残り戦略』より引用)

コカコーラ、ペプシよりも甘くしたんです。

ゴイズエタは、自信あったみたい。

でも娼婦あつかいですからね。。。

やっぱりコカコーラの顧客が求めているのは、イッツ・ザ・リアル・シング

時代や競合に流される姿勢を、顧客は決して見たくなかった。

それで非難轟轟。不買運動まで起こったらしいですから。

それにしても、そんなに愛されてたのね…。

さすがアメリカの象徴!これぞブランド!

より引用。

市場調査部の調査では、名前を隠した味覚テストではニューコークはやはりペプシに勝っていた。しかしブランドを明らかにしたテストではペプシが圧勝であった。つまり消費者は「ニューコーク」の味ではなくブランドそのものに拒否反応を示していたのである。

コカコーラは、自身が築きあげたブランドに、もっと自信をもって良かったという事ですね。

元の古いコーラは、たった3ヶ月で復活します。

ホントはペプシ、元のコカコーラと、まったく同じコーラを出す計画だったみたい。

イッツ・ザ・リアル・シングの乗っ取り…。

これがもし成功してたら、コカコーラの立場、吹きとんでいたでしょう。

コカコーラ側が3か月で元のコーラを復活させたことが、ペプシの乗っ取りを水際で防いだ、ということ。

カンザス計画のあと、コカコーラは驚異的に売り上げを伸ばしたそうな。

「災い転じて吉となす」とは、まさにこの事。

カンザス計画が、1985年。

現代最高の投資家、ウォーレン・バフェットがコカコーラの株式を買ったのが、1988年ですから。

こうしてみると、コカコーラは1985年から1988年のあいだに、イッツ・ザ・リアル・シングを実現したんだという事でしょう。

コカコーラの時価総額が、16年でおよそ40倍に上がっているわけで。

この時代のコカコーラの細かい財務分析は、私は見ていませんが、中興の祖・ゴイズエタは財務体質も改善したということ。

今日の哲学的まとめ

「マーケティング戦争 全米No.1マーケターが教える、勝つための4つの戦術」(アルライズ,ジャックトラウト著,酒井泰介訳)p170より引用。

認識は人間のあらゆる判断に影響を及ぼすが、味わいについても同じだ。

戦闘は、心の中で交わされる。

人間の心の中に、事実なんてありはしない。

あるのは認識だけだ。

認識こそが現実なのである。

(強調線は、私きょうさんが引いた。)

「マーケティングとはなにか」、「ブランディングとはなにか」を知るには、コーラ戦争は格好の素材ですね。

ところで、上に引用した「人間の心の中に、事実なんてありはしない。」というコトバ。

私はこれを読んで、投資家ジョージ・ソロスを思い出しましたよ。

ソロスは、再帰性理論なるものを編み出して投資やってるんですが。

再帰性理論とは、「市場は少しずつ間違っている。その発生と収縮の狭間にチャンスがある」というものです。

ですが、なんだか煙に巻いたような理論でピンとこないんですよね。

でももしかすると、これはマーケティングの隙間を縫う、という事なのかも。

人間の心の中の揺らぎ。

いやあでも、こう書いていて、やっぱバッタもん臭いなあ再帰性理論。

どうせインサイダーでしょ。

とりあえず手元にあるんで、寝る前にでも読んでみますよ。ソロス。

そうそう。あと、これ貼っときますよ。

ホント優れた本です。

マーケッター必須!

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